宝石について少し専門的なお話3 (耐久性)
宝石の耐久性についてのお話
ジュエリーを気兼ねなく普段使いする上で、宝石の強度も気になるところかと思います。
宝石の定義は『美しさ』と『希少性』だけではなく、一定の耐久性を持っていることが条件とされております。
具体的には空気中のチリや砂埃に含まれる水晶(モース硬度7)で傷つかない、硬度7以上のものが好ましいとされております。
そこをクリアしないまでも、ジュエリーとして日常使用する上では、最低でも硬度6程度は欲しいところです。
石の丈夫さには主に『硬度』と『靭性』の二要素が大きく関わってきます。
『硬度』は傷のつきにくさ。『靭性』は割れや欠けに対する耐久性です。
なお、靭性についての記載は明確な数値や資料が見つからなかったので、私自身の経験則も含めたうえで判定しております事をご了承ください。
硬度と靭性を考慮して
●比較的日常使いしやすい宝石は…
ダイアモンド、コランダム(ルビー・サファイア)、クリソベリル(キャッツアイ・アレキサンドライト)、ジェイダイト(ひすい)、スピネル、アクアマリン
●標準的な耐久性の宝石は…
ガーネット、トルマリン、クオーツ、ジルコン、トパーズ
●比較的デリケートな宝石は…
エメラルド、ゾイサイト(タンザナイト)、オパール
また、『へき開』(結晶構造に由来する割れやすい方向)の有無や『インクルージョン』(内包物)も強度に影響してきます。
丈夫な部類の宝石でもへき開やインクルージョンの影響で、軽くぶつけただけでも当たり所が悪いと割れてしまう…ということも起こりうる話です。
石留め技法による違い
そして、ジュエリーの作り手としての視点ではございますが、石留めのタイプによっても耐久性は変わってきます。
宝石のガードル(ふち)部分を面で保護する『覆輪留め』は、デリケートな宝石をぶつけやすい指輪にセッティングするのに向いている石留め技法です。
『爪留め』よりも石が小さく見えると言われますが、耐久性とシンプルなデザイン性、服への引っ掛かりの少なさから、HIKARUISHIでは『覆輪留め』を好んで多用しております。
また、デリケートな石は指輪よりもペンダントやピアスに仕立てることをお勧めいたします。
なぜかと申しますと、それらは指輪と比較して石をぶつけてしまう可能性が圧倒的に低いためです。
まとめ
・『硬度』(傷つきにくさ)と『靭性』(割れにくさ)の宝石の耐久性に関わる二大要素
・『へき開』(衝撃に弱い方向)や『インクルージョン』(内包物)も関係
・ジュエリーの仕立て方によっても耐久性が変わってくる
耐久性について書いてきましたが、どんな石も乱雑に扱えば割れてしまいますし、大切に扱えば一生モノです。
あまり神経質になる必要はございませんが、頭の片隅において宝石をほんの少し労わる意識をしていただければよろしいかと思います。