騙されないための宝石知識3 (産地記載)

HIKARUISHI(ひかるいし) 騙されないための宝石知識3 (産地記載)

宝石の産地についてのお話

宝石の中には○○産というように産地が記載されて売られている物も多いです。

この石はどこで生まれたのだろう?と地図を眺めながら思いを馳せるのも一興かと存じます。

私自身も宝石産地に関してはまだまだ勉強中で、お客様の方が詳しい事が多いかも知れません。


宝石が手元に届くまでは採掘業者、中間業者、研磨業者、石を販売するお店…等々、多くの方が関わります。

基本的に産地表記に関しては,関わる業者さん方の良心を信じる他ないのかなぁ…というのが、現時点での私なり感想でございます。

…と申しますのも、宝石の産地を確かめることは非常に困難な事で、偽装しようと思えばいくらでも出来てしまう類のものです。

 

原産地に関する鑑別機関の仕事

GIA様などの鑑別機関では原産地レポートや分析報告書という形で、宝石の産地を判定(推定)するサービスを行っております。

これは鑑別機関が所有するサンプル石と比較して、特徴が合致する原産地を推定するという仕組みです。

宝石は産地によって色や含有成分、内包物の特徴に傾向が見られると言われております。

しかし、あくまでも傾向であって常に例外は存在するもの。場合によっては産地不明と返答されることもあるそうです。


また、このサービス(GIA原産地レポート)は現時点では対象となる宝石がルビー、サファイア、エメラルド、パライバタイプのトルマリン、レッドスピネル、アレキサンドライトのみに限られており、費用も高いので気軽に利用するのは少々難しいかと存じます。


そもそも、宝石が大地の奥底で作られたのは数千万~数億年も前の出来事です。

その頃は国境など当然存在しませんし、地殻変動により大陸の形や位置すら今とは全く異なっております。

そう考えると、原産地(国)って何だろう?と思えてきます。

 

宝石の品質が主で、原産地が従

食品の世界では産地ブランドが流行っていて、それはとても魅力的なものですが、宝石の世界で産地ブランド的な考え方を当てはめるのは少し危ないようにも感じます。

原産地特徴に例外が存在するならば、『偽装していること・していないこと』を証明することは悪魔の証明です。

もし証明困難な産地名で価値が大きく変動するならば、そこに必ず偽装は生まれます


ミャンマー・モゴック産のルビーや、コロンビア・ムゾー産のエメラルドなど、それぞれ宝石には高品質なものがとれる事で有名になった産地がございます。注意すべきことは、必ずしも『有名産地=高品質』とは限らないという事です。

価値観は人それぞれですが、本来は『宝石の品質が主で、原産地が従』の関係性であって、それが健全なのではと私は考えます。


少々否定するような書き方となってしまいましたが、産地にロマンを感じるという楽しみ方もまた、宝石の嗜み方の一つです。

消費者目線で産地が気になることは至極、自然なことです。

私自身もワインを飲む時、どこの畑で作られた葡萄なのだろうかと、googleマップやストリートビューで確認しながら楽しむこともございます。


宝石の原産地へのこだわりは、『普段使い』をコンセプトとするHIKARUISHIの価格レンジからは大きく離れた高尚で高級な趣味の世界です。

ただ、いつしかお客様がそのような宝石に興味を持たれた際の一助となればと思い、原産地についての注意点を、私なりの考えの整理も兼ねて記事にしてみました。